研究課題
多くの種において、飲水と摂食の間には密接な関係がある。摂食調節機構は、視床下部に局在する満腹中枢と摂食中枢という2中枢説を基盤に発展し、研究が精力的に行われている一方、飲水調節機構はあまり解明されていない。最近、申請者はnesfatin-1/NucB2が脱水誘発性摂食抑制に関わる鍵分子である可能性を見いだした。本研究において我々は、中枢神経系におけるnesfatin-1/NucB2に着目し、摂食行動や飲水行動にどのように関連しているのかを明らかにすることを目的とした。我々は、ラットにおいて、1)コレシストキニンやレプチンをはじめとした、様々な摂食抑制物質を腹腔内投与した場合、中枢神経系におけるnesfatin-1/NucB2ニューロンが活性化し、その摂食抑制効果はnesfatin-1/NucB2アンチセンスの脳室内前投与によって有意に減弱することを見出した。2)抗癌剤のシスプラチン腹腔内投与後に、中枢神経系におけるnesfatin-1/NucB2ニューロンが活性化し、その摂食抑制効果は、nesfatin-1/NucB2アンチセンスの脳室内前投与によって有意に改善することを見出した。3)摂食促進作用をもつグレリンの脳室内投与による摂食促進作用が、オレキシン受容体拮抗薬の脳室内前投与によって減弱すること、オレキシン受容体拮抗薬の脳室内前投与は、グレリンによる飲水調節に影響しないことを見出した。本研究では、中枢神経系におけるnesfatin-1/NucB2やグレリンの飲水行動における明確な役割の解明に至っていないが、以上の研究成果は、中枢神経系におけるnesfatin-1/NucB2、グレリン、およびオレキシンが摂食調節に密接に関連することを示唆する。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Physiological Sciences
巻: 印刷中 ページ: 1-8
10.1007/s12576-016-0517-5
Journal of Neuroendocrinology
巻: 28 ページ: -
10.1111/jne.12400