研究課題
まず、これまでに樹立したがん幹細胞様ONS-F8の系を用いて、がん幹細胞様細胞と親株(ONS-76)のredox statusを評価したところ、ONS-F8ではROSの産生が低下していた。しかし、グルタチオンの量は変わらなかった。OCRの結果からも、ONS-F8ではミトコンドリア呼吸が抑制されていることが示唆された。一方で、ミトコンドリア賦活剤として知られているDCAを投与すると、OCRの上昇と活性酸素が上昇し、それに伴い、幹細胞性の低下と放射線感受性の増加が観察された。しかしながら、これは一般的に言われているような、ミトコンドリア呼吸の賦活化によるものではなく、複合的な代謝経路のalterationによるものであった。また、Tempol法により還元能を解析したが、ONS-76とONS-F8を比較するとF8の方が、Tempol還元速度が低かった。放射線照射後に測定したが、ONS-76とONS-F8共に、非照射時とほとんど変わらなかった。また、ONS-76に放射線照射後に抗酸化物質(6種類)を投与して生存率が変化するか解析したが、少なくとも、毒性が全く出ないレベルにおいては、生存率の増加も減少も認められなかった。一部の先行研究では、生存率が増加するという報告があったが、本研究で使った細胞では再現性が取れなかったということになる。これらの結果を総合的に判断すると、ミトコンドリア呼吸を始めとしたエネルギー代謝のあり方はstemnessや放射線抵抗性に非常に重要である一方、放射線照射後のredox statusは少なくとも我々が使用した細胞に関しては放射線抵抗性に関して有意義な影響を与えるということはなかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
PlosOns
巻: 印刷中 ページ: -