近年、連星ブラックホール合体からの重力波が世界で初めて観測されたことから、連星中性子星合体からの重力波も近く観測されるものと大きく期待されている。そのため、観測される連星中性子星合体からの重力波を通して多くの物理情報を引き出すために、様々な角度からの理論的研究が急務である。その中でも、本研究では連星中性子星合体及びそこから放射される重力波の状態方程式依存性に重点を置いて研究を進めていった。
連星中性子星合体から放射される重力波には多くの情報が含まれており、例えば、そのパワースペクトル密度には、複数の特徴的なピークが存在していることが知られている。報告者は、質量・質量比・状態方程式に対して系統的に多くの連星中性子星のモデルを考えることで、それらに対する合体後の状態やそこから出てくる重力波の依存性を明らかにした。特に、軽い中性子星から重い中性子星まで幅広い質量に対して連星中性子星合体を考えたことは重要であり、他のグループから指摘されていた質量に対するセレクション・エフェクトを払拭し、報告者達の発見した相関関係を確かなものとした。 さらに、これにより得られた結果を利用することで、連星中性子星の合体後に形成される大質量中性子星に対する現実的な差動回転則の提案や、統計的手法を用いた中性子星の半径及び状態方程式の高精度な新しい同定方法の提案などを行った。
これらに関連して、2編の論文を出版し、2編の論文が投稿中であり。
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