研究課題/領域番号 |
15H06816
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
鈴木 麻里子 香川高等専門学校, 建設環境工学科, 助教 (50756658)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 土木材料 / 循環型社会 / コンクリート / 生分解性樹脂 |
研究実績の概要 |
交付申請書に記載した②水中暴露試験,③水圧による影響解明に対し,重点的に実験,検討を行なった(連携企業と協議の上,今後の適応先などを考慮し優先的に実施した).微生物などによって分解される生分解性樹脂コンクリートを水圧下で暴露することにより,どのような劣化傾向を示すか明らかにした.結果,1ヶ月間(短期間),最大100kPaの水圧下での暴露試験ではピーク強度自体に大きな変化は見られないが,時間経過に伴って,ひずみが大きくなることが明らかとなった.これは,樹脂が分解されることによってポリマーの結合が切断され化学的な変化が生じたことが示唆された.また,90日以上暴露すると最終的な強度は初期の40%程度まで低下することが明らかとなった.さらに,樹脂の違いによる強度低下傾向の違いも明らかにすることができ新たな知見を得た.以上のことより,水中下で顕著な強度低下をもたらすためには少なくとも90日以上暴露させる必要があることが分かった.これらの研究遂行の結果,今年度は2編の国内学会発表(農業農村工学会1編,地盤工学会四国支部1編)や学術講演会での講演(地盤工学会四国支部1編)を実施し,広く研究成果を公表した. これまで,破壊試験を実施しており,同一供試体の劣化の様子を追えていない.今後の課題として,同一供試体の非破壊試験を実施する必要があると考え,低反発で強度定数を測定することができるシルバーシュミットを購入し,予備試験を実施した. 設備の関係上,交付申請書に記載した①の温度に関連する実験など実施できていない項目もあるが,2016年1月7日に行なった研究打合せでは,今後の研究の進め方や問題点を抽出することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4月に現職に着任したこともあり,研究のスタートがやや遅れた.また実験環境を整えるのに時間を有してしまった.しかしながら,交付申請書に記載した②水中暴露試験,③水圧による影響解明は遂行でき,今後の研究の発展につながる有益な結果が得られたと考えられる. 実施していた研究に対し,今年度は2編の国内学会発表(農業農村工学会1編,地盤工学会四国支部1編)や学術講演会での講演(地盤工学会四国支部1編)を実施し,広く研究成果を公表した.また,すでに2016年度に開催される2学会(一編は国際学会)に投稿済みである.
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は設備の関係より,最大100kPaまでしか加圧できなかったが,今後は最大1MPaまで加圧し生分解性樹脂コンクリートを水中暴露したい.1MPaまでの各水圧における劣化進度を明らかにすることにより,海底探査など現場での利用を念頭に置いた検討を実施する.また,2015年度は圧縮試験のみ実施したが,今後はその他の力学挙動を明らかにしたい.よって,冶具を作製し,曲げ試験,引張試験,引抜試験など各種力学試験を実施する.さらに,予備試験で実施したシルバーシュミットを用いた非破壊試験を実施し,同一供試体の強度低下の様子を明らかにする. また,これまで検討できていない海水中での劣化挙動や温度の違いによる劣化進度の違いなども実施したい.
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