本研究は,循環型社会形成の促進に貢献できる生分解性樹脂コンクリートの実用化を目的とした研究に取り組んだ.特に水による分解が支配的であるということが推察されたため,水中で暴露した生分解性樹脂コンクリートの曲げ試験,圧縮試験を実施し,強度低下傾向を明らかにすると共に,メカニズムの解明に尽力した. 水中暴露4ヶ月後には,曲げ強度は初期強度の50%,圧縮強度は60%程度の強度まで低下することが明らかとなった.しかしながら,50~250kPa程度の加圧では,圧力の大きさと強度低下傾向に相関関係は見られなかった.また,比較として実施した乾燥状態では,ほぼ強度低下が見られないことが明らかとなった.1ヶ月間,水中加圧暴露した供試体では,圧縮圧力,曲げ応力の大きさと強度低下傾向に強い相関は見られなかったが,弾性係数に違いが見られることが明らかとなった。 H27度は圧縮試験のみ実施したが,今年度は圧縮試験,曲げ試験を実施した.その結果,曲げ強度の方が強度低下率が大きいことが明らかとなった.よって,樹脂部分に水圧や水が影響を及ぼし,骨材と樹脂の付着力が低下したことが示唆された. 前述した結果を受け,実施工を目指した仮製品を作製し,地下水位の影響を受ける地盤内に埋設し,現在引き続き暴露試験を実施している.今後,‘分解されるコンクリート’という特徴を生かせる適応先を考案し,コスト面など様々な側面から本研究を進展させる必要がある.
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