研究課題
本研究課題の最終年度にあたる平成28年度は、最新の研究動向を考慮の上、ロシア語における有声阻害音と無声阻害音の産出時の舌根の動態に関する研究課題を主軸に研究を進めた。具体的には、まず、2016年春と秋にロシア連邦(モスクワ・ペルミ・サンクトペテルブルグ)において音声学実験を実施し、ロシア語の子音調音時の舌の動態に関する超音波映像資料を収集した。これらの資料を量的に分析することによって、有声閉鎖音の産出時には、無声閉鎖音の産出時よりも、舌根がやや前方に出されていることを示した。さらに、このような有声性に条件づけられた舌根調整のパタンが、硬口蓋化が関与する対立とはどのような関係にあるのかも検討した。以上の内容を含むいくつかの研究知見は国際学会に投稿済みである。最終的な研究成果は、2017年秋以降に国際学会での発表を経た上で、2018年以降に学術論文として出版される見通しである。このほかに、有声阻害音と無声阻害音の言語間変異に関する類型論的問題を扱ったレビュー論文を日本語で1本発表した。さらに、有声阻害音と無声阻害音の喉頭特徴について、より深い考察を可能とするためにおこなった音声産出実験の結果を3本の英語論文にとりまとめた (過年度に提出した原稿を含む)。そのうち2本は年度内に出版されており、残り1本は2017年以降に出版される見通しである。上記の他に、社会的な貢献として、2016年11月5日にサンクトペテルブルグ大学東洋学部において、日本語を専攻するロシア人学生を対象に、超音波撮像装置を用いた音声学ワークショップ(試行版)を実施した。このことによって、調音音声学的な知見や方法論を言語教育の場に還元・応用することに、微力ながら貢献した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
NINJAL Research Papers
巻: 12 ページ: 47-62
doi/10.15084/00000853
北海道言語文化研究 [Journal of the Hokkaido Linguistic and Cultural Studies]
巻: 15 ページ: 147-166
Phonology, its Faces and Interfaces. Frankfurt am Main: Peter Lang
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