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2015 年度 実績報告書

Nusuttodinium属渦鞭毛藻における盗葉緑体拡大・分裂機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H06834
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

大沼 亮  国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 研究員 (80756825)

研究期間 (年度) 2015-08-28 – 2017-03-31
キーワード渦鞭毛藻 / 盗葉緑体 / Nusuttodinium / 細胞内共生
研究実績の概要

渦鞭毛藻Nusuttodinium aeruginosumはクリプト藻の葉緑体を取り込んで細胞内に保持する盗葉緑体現象を示し、クリプト藻の核を葉緑体の維持に用いていることが形態観察から明らかとなっているが、盗葉緑体現象の分子機構は未だに明らかとなっていない。本研究はN. aeruginosumにおける(1)盗葉緑体の維持機構の解明と(2)同調分裂機構の解明を試みているものであり、2つの進展状況をそれぞれ記載する。
(1)盗葉緑体の維持機構の解明のために盗葉緑体現象の各段階におけるトランスクリプトーム比較解析を試みており、H27年度は解析のための培養条件検討を行った。トランスクリプトーム解析では大量培養した無菌株からRNAを抽出することが望ましいため、無菌株の作出、大量培養方法の確立を試みた。その結果、無菌株の作出に成功し、大量培養方法を確立することができた。しかしながら、大量培養株内では盗葉緑体の発達段階を細胞間で揃えることが非常に困難であることが明らかとなった。そのため、少数細胞を用いてのトランスクリプトーム解析をする方法に転換し、予備実験を行っている。
(2)盗葉緑体の同調分裂機構の解明に向けて、渦鞭毛藻の盗葉緑体の実験をする前に、クリプト藻でも葉緑体の分裂機構が未知であるため、H27年度はクリプト藻細胞周期における葉緑体分裂機構の解明を試みた。その結果、葉緑体分裂に関わるFtsZは細胞周期全体にわたって葉緑体の予定分裂面にリング状構造をとっていることが明らかとなった。クリプト藻は紅藻を細胞内共生させ、その紅藻の核の名残であるヌクレオモルフをもっているが、ヌクレオモルフにコードされている細胞周期関連候補遺伝子群には細胞周期依存的な発現がないことも明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画ではH27年度中にトランスクリプトーム解析結果の一部を得ることを予定していたが、大量培養株を用いてのトランスクリプトーム解析が困難であることがわかったため、計画通りには進行しなかった。しかしながら、少数細胞を用いてのトランスクリプトーム解析に向けて予備実験の解析をしている段階で、不測の事態に順調に対応していると言える。
渦鞭毛藻における盗葉緑体同調分裂機構の解明に向けて、餌生物のクリプト藻の実験を先に行ったが、渦鞭毛藻での実験のバックグラウンドになりうる十分なデータを得ているため、H28年度からは計画通りに渦鞭毛藻での実験に移行する予定である。
以上の理由から進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

(1)配列解読中の少数細胞を用いたトランスクリプトーム解析で良好な結果を確認でき次第、盗葉緑体をもたない渦鞭毛藻、捕食前のクリプト藻、クリプト藻捕食直後の渦鞭毛藻、盗葉緑体拡大後の渦鞭毛藻というように、細胞間で盗葉緑体の段階を揃えたトランスクリプトーム解析に順次移行する。盗葉緑体の段階を揃える方法は、研究代表者が形態観察で用いてきた単細胞実験系をそのまま用いることができると見込まれており、その方法によって、同じ段階にある細胞を作出・回収し、トランスクリプトーム解析に供することができる。
(2)盗葉緑体同調分裂機構の解明については、クリプト藻の実験で用いたFtsZ抗体を渦鞭毛藻に用いてFtsZリングが渦鞭毛藻細胞内でも形成するかを検証する。形成が確認された場合は渦鞭毛藻の細胞周期と盗葉緑体の分裂がどのように関連しているかを検証する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] クリプト藻Guillardia thetaの葉緑体分裂と共生藻細胞周期による分裂制御機構の解明2016

    • 著者名/発表者名
      大沼亮、宮城島進也
    • 学会等名
      日本藻類学会第40回大会
    • 発表場所
      日本歯科大学
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-20

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公開日: 2017-01-06  

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