研究課題
髄鞘は絶縁体として働くだけでなく軸索と緊密な相互作用を行い神経機能を調節する。髄鞘はグリア細胞が軸索を何重にも取り囲んだ多重層構造であり、そこには多くの膜蛋白質が存在する。細胞表面に存在する殆ど全ての膜蛋白質が糖鎖修飾されていることから、髄鞘において糖鎖が重要な働きを担っていると考えられるが、糖鎖がどのような役割を果たすかは未だ理解が乏しい。今までにマウスなどの髄鞘の糖鎖解析を行い、硫酸化N結合型糖鎖が末梢神経系髄鞘には豊富に存在することを私は見出した。そして、その硫酸化修飾は硫酸転移酵素GlcNAc6ST-1によるものであると突き止めた。本研究は、末梢神経系髄鞘においてGlcNAc6ST-1により作られる硫酸化糖鎖がどのような役割を果たすのかを解き明かすことを目的とした。平成28年度はGlcNAc6ST-1ノックアウト(KO)マウスを用いて、硫酸転移酵素GlcNAc6ST-1 により作られる硫酸化糖鎖の末梢神経系髄鞘における役割を明らかにした。連続ブロック表面走査型電子顕微鏡を用いて髄鞘の詳細な構造を観察した結果、GlcNAc6ST-1 KOマウスの坐骨神経において髄鞘異常および軸索変性が認められた。故に、末梢神経系においてGlcNAc6ST-1は糖蛋白質のN結合型糖鎖の硫酸化を介して髄鞘形成を制御することが示唆された。本研究で得られた知見を学術論文(Yoshimura et al., Scientific Reports, 2017)として発表し、プレスリリースを行った。故に、平成28年度の研究計画はほぼ達成できたと考えている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (3件)
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 42257
10.1038/srep42257
http://www.ugscd.osaka-u.ac.jp/mbs/index.html
http://www.nips.ac.jp/ninfo/index.html
http://www.nips.ac.jp/release/2017/02/post_337.html