研究課題/領域番号 |
15H06844
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研究機関 | 公益財団法人サントリー生命科学財団 |
研究代表者 |
藤川 紘樹 公益財団法人サントリー生命科学財団, その他部局等, 研究員 (50755874)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 有機合成化学 / 生体分子 |
研究実績の概要 |
これまでの研究では、大腸菌由来のMPIaseの膜挿入活性が調べられてきたが、本研究では、化学合成したMPIaseを用いて、「タンパク質の膜挿入活性」を検証し、「MPIaseの膜中での運動性」を検証する事で、MPIaseの膜たんぱく質膜挿入機構を明らかにする事を目的としている。 初年度は、MPIaseの部分構造の化学合成にむけて、「各ビルディングブロックの合成」と「構築が難しい鍵反応の検討」を行った。「各ビルディングブロックの合成」では、フコサミンドナーを2g、マンノサミンになるグルコースドナーを4g、グルコサミンアクセプターを3g、ジアシルグリセロールを4g得ることができた。「構築が難しい鍵反応の検討」では、「3糖連結部分のαグルコサミニル化反応」をグルコサミンドナーとフコサミンアクセプターを用いて検討し、高収率(90%)、高立体選択的(α>95%)なαグルコサミニル化反応の条件を見出すことができた。また、「糖鎖へのピロリン脂質の導入反応」をグルコサミンを用いて検討し、2位にアセトアミド基を持つグルコサミンを用いると、目的のαリン酸化体が得られ、モルホリンで活性エステルにしたリン脂質を導入することで、収率(80%)よく、糖ピロリン脂質が得られることが分かった。 次年度は、得られたビルディングブロックや反応条件を用いて、MPIaseの部分構造の合成を達成し、構造活性相関研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MPIaseの部分構造の化学合成にむけて、「各ビルディングブロックの合成」と「構築が難しい鍵反応の検討」を行った。 「各ビルディングブロックの合成」では、フコサミンドナーを2g、マンノサミンになるグルコースドナーを4g、グルコサミンアクセプターを3g、ジアシルグリセロールを4g合成し、MPIase部分構造の構築に十分量の単糖ユニットを得ることができた。 「構築が難しい鍵反応の検討」では、「MPIaseの合成で最も難しいと考えられるαグルコサミニル化反応」をグルコサミンドナーとフコサミンアクセプターを用いて検討し、高収率(90%)、高立体選択的(α>95%)なαグルコサミニル化反応の条件を見出すことができた。 また、「糖鎖へのピロリン脂質の導入反応」をグルコサミンユニットを用いて検討し、2位にアセトアミド基を持つグルコサミンを用いると、目的のαリン酸化体が得られ、モルホリンで活性エステルにしたリン脂質を導入することで、収率(80%)よく、糖ピロリン脂質が得られることが分かった。 今後は、「合成したビルディングブロック」や「検討した鍵反応」を用いて、MPIaseの部分構造の合成を推進したい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度に「合成したビルディングブロック」や「検討した鍵反応」を用いて、MPIaseの部分構造の合成を行う。 まず、MPIaseの基本の3糖ピロリン脂質構造の合成を行う。3糖ピロリン脂質の合成を達成したら、合成した標品を用いて「膜たんぱく質膜挿入活性試験」を行ったり、固体NMRを利用した「MPIaseの膜での運動性」について検証する。 さらに、3糖ドナーと3糖アクセプターをそれぞれ合成し、縮合することで、糖鎖の伸長した類縁体(6糖、9糖、12糖)の合成を目指す。 得られたMPIase類縁体のライブラリーを用いて、糖鎖長や脂質の違いが、タンパク質との相互作用やMPIaseの膜での運動性に与える影響を測定し、膜たんぱく質膜挿入活性機構の解明を推進する。
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