研究課題/領域番号 |
15H06851
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
栗田 圭輔 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 博士研究員 (10757925)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | イメージング / チェレンコフ / 放射性セシウム / 植物 |
研究実績の概要 |
本研究は、チェレンコフ光を利用したイメージング手法を応用し、放射性セシウム動態研究に有効な植物RIイメージング技術の開発を目指すものである。Cs-137をガンマカメラ等の従来のイメージング技術で撮像した場合、ガンマ線の持つ強い透過力のため像がボケ、非接触計測で得られる空間分解能には物理的な限界があった。そこで、Cs-137が副次的に発するチェレンコフ光を高感度CCDカメラで捉えることで、植物体内のCs-137動態を非接触で、且つ高い空間分解能でイメージングする。今年度は、チェレンコフイメージングシステムの性能評価と、Cs-137を経根吸収させたダイズの地上部と地下部の撮像を行った。 チェレンコフイメージングシステムの性能評価を行うため、10 kBq~2 MBqのCs-137点線源から発せられるチェレンコフ光を撮像した。その結果、画像強度と放射能濃度との間に良好な直線性を確認でき、また開発したチェレンコフイメージングシステムは少なくとも3桁以上のダイナミックレンジを持つことがわかった。さらに、画像強度[count/sec/pixel]と放射能濃度[kBq/mm2]との関係式を導き、取得した画像から撮像対象の放射能を定量的に見積もることを可能とした。 ダイズの撮像において、ダイズは4 MBqのCs-137溶液を7日間経根吸収させた後、ビニールで包み、7日間冷凍保存しておいたものを地上部と地下部に分けて撮像した。その結果、高精細なセシウム分布画像が得られ、ダイズ地下部に取り込まれたCs-137が発するチェレンコフ光の撮像に初めて成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発したシステムの性能評価やダイズ体内のCs-137分布画像の取得に成功しており、平成27年度終了時としては順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、植物体内におけるCs-137動態を撮像することを目的とする。植物中のCs-137動態を観察するためには長期間イメージングを行う必要がある。またチェレンコフ光は微弱な光のため、植物育成環境下では撮像できない。このため、植物体内のCs-137動態撮像に適した実験環境、実験プロトコルの作成を行う。また、バイオフォトンなどのチェレンコフ光の検出を阻害する光を除去する手法を開発する。植物中のCs-137動態撮像に成功した場合、本手法が放射性セシウムのみならず、植物の必須元素や有害元素の植物体内動態イメージングへも応用が可能かを検討する。
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