現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・ネガティブ選抜のタイミング調節が可能な条件的ネガティブ選抜マーカーの利用 【温度感受性ジフテリアトキシンDT-Ats】DT-Atsは、18℃以下の低温で毒性を示すことが知られている。そこで、DT-Ats過剰発現ベクターをイネカルスおよびタバコ葉片にアグロバクテリウムを介して形質転換し、形質転換カルスおよび葉片を選抜培地に置床して17~18℃で培養した。しかし、DT-Ats形質転換イネおよびタバコのいずれにおいても、GFP形質転換コントロールに比べて低温条件下で生育の阻害は認められなかった。また、この結果は、低温での培養期間を延長しても同様であった。 【キメラリプレッサーによるポジティブ選抜マーカーの発現抑制】キメラリプレッサーによる発現抑制効果を、Nicotiana benthamianaを用いたレポーター遺伝子の一過的発現系で評価した。その結果、キメラリプレッサーの発現は顕著にレポーター遺伝子の発現を抑制でき、この実験系がネガティブ選抜マーカーとして利用できることが示された。そこで、nptIIをポジティブ選抜マーカーとして、キメラリプレッサーの発現が形質転換カルスの増殖を抑制できるかどうかを、イネおよびタバコにおいて評価した。その結果、イネおよびタバコのいずれにおいても、明らかなネガティブ選抜効果は認められなかった。 ・GTに成功した細胞の増殖促進 イネカルスにおいて細胞増殖活性を示すことが報告されている分泌型ペプチドファイトスルフォカイン (PSK) をカルス誘導培地に種々の濃度(0, 0.1, 1.0 nM)で添加し、細胞増殖活性を検証した。しかし、通常の培養温度(33℃)では無添加の培地上での増殖と違いは認められなかった。そこで、様々な生育温度(18, 22, 28℃)で培養したところ、この条件においても顕著な細胞増殖活性を示さなかった。
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