研究課題
第三世代放射光によるX線の超高輝度化や,タンパク質調製技術の進歩などにより,1つのタンパク質の構造決定に必要な時間やコストは大幅に削減された.しかしながら,膜タンパク質や複雑な複合体など生命機能の解明に重要な構造解析の難度は高く,現状簡便に解析が可能な20-30 μm以上の大きさの結晶を得ることは難しい.近年,大型放射光施設SPring-8のビームラインBL32XUで利用可能になったマイクロビームX線を用いることで,10 μm程度の微小結晶からでも十分な強度の回折を得ることができるが,数回程度の照射で試料が破壊される放射線損傷のため,多数の微小結晶の回折強度測定を繰り返し,完全なデータを収集しなければならない.本研究は,多数の微小結晶を用いたデータ収集およびデータ処理の自動化を行うことで,構造解析可能な構造振幅データを全自動で得ることを目的としている.本年度は,前年度に引き続き,微小結晶を用いたデータ処理システムの改良を行った.共同研究により入手した種々の試料を用いてテストや,試料にあわせて必要な機能の追加を行った.用意された試料情報に基づく全自動のマージ処理や,結晶方位の偏りの可視化を含む結果のより詳細な分析機能の実装を行い,Webブラウザで表示可能なレポートの自動生成機能も付与した.既に複数の構造解析に成功しており,論文準備中である.実験へのフィードバック機構については今後も検討が必要である.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
ACS Nano
巻: 11 ページ: 2410--2419
10.1021/acsnano.6b06099