1.根粒形成制御におけるCAMTA1の遺伝的位置を明らかにするため、camta1変異体といくつかの共生変異体とを掛け合わせ二重変異体を作成した。castor x camta1二重変異体に根粒菌を接種すると、復帰変異体と同様に根粒共生が復帰した。一方、ccamk x camta1二重変異体では根粒形成が復帰しなかった。以上から、CAMTA1は遺伝学的にはCASTORとCCaMKの間に位置することを明らかにした。 2.前年度の研究結果からCAMTA2/3が菌根共生に関与する可能性が示唆されたことから、castor変異体背景でこれら遺伝子のノックダウンを行った。しかし、いずれの菌根共生表現型もcastor変異体と有意差を示さなかった。複数のCAMTAが冗長的に菌根共生に影響する可能性が考えられる。また、取り寄せたタグラインの系統からCAMTA2、3それぞれの変異体を得た。 3.根粒形成制御におけるCAMTA1の機能を探るため、CAMTA1の各ドメインの欠損派生CAMTA1を復帰変異体で発現させ根粒共生表現型の相補能を調べた。CAMTA1全長は復帰変異体の根粒形成をほぼ抑制したが、派生CAMTA1はいずれも復帰変異体の根粒形成を抑制せず、全ドメインがCAMTA1の機能に必須あるいは派生CAMTA1は機能しない可能性が考えられた。また、CAMTA1自身の制御を調べるため、カルモジュリン結合ドメインを置換あるいは欠損させた派生CAMTA1を野生株で発現させたが、根粒形成への影響は観察されなかった。 4.CAMTA1のTIGドメインがCYCLOPSとの相互作用部位であることを突き止めた。また、CAMTA1がCYCLOPSによるNINの発現に作用するかどうか調べたところ、CAMTA1はCCaMKがCYCLOPSを活性化するプロセスに抑制的に機能する可能性が示唆された。
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