研究課題/領域番号 |
15H06864
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
鈴木 伸之介 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 特別研究員 (00755994)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 発生・分化 / 生殖細胞 / 老化 |
研究実績の概要 |
個体への環境ストレスや個体の老化により、精巣の精子形成能力は低下し不妊となる。しかし、精巣内の精巣細胞のうち精子幹細胞は0.02-0.03%の割合でしか存在しないために、詳細な解析は非常に困難であり、精巣内で精子幹細胞がどのようなメカニズムにより精子形成能力を維持しているかは、十分に理解されていない。 2003年に京都大学・篠原隆司教授らのグループにより樹立され、株化された精子幹細胞(GS細胞、Germline stem cells)は、精子形成能力を維持しながら、数年間生体外で培養でき、精巣内で精子幹細胞がどのように精子形成能力を維持しているかを生体外で明らかにできる細胞である。また、GS細胞の培養過程もしくは樹立過程において精子形成能力を失った細胞(以下dGS細胞;defective GS細胞)が生じる事が報告されている。このdGS細胞の形態はGS細胞と同一であるにも関わらず、精子形成能力に違いが生じる。そこで申請者は、生体外で精子形成能力を維持しながら培養が可能なGS細胞と精子形成能力を失ったdGS細胞(defective GS細胞)を遺伝子発現量の変化およびエピジェネティックな変化の観点において解析することにより、精子形成能力を維持するメカニズムを解明する。最終的には生体外で得られた結果を個体へと応用し、精子形成能力が低下した個体において精子形成能力を回復させる技術を開発する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロアレイを用いたCtcfl過剰発現dGS細胞における遺伝子発現解析は行ったものの、精巣への移植技術の取得に時間がかかり、Ctcfl過剰発現dGS細胞が精子形成能力を回復したかについての確認はまだできていない。そのため、研究計画よりやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末に精巣への移植技術を取得できたため、Ctcfl過剰発現dGS細胞を精巣へ移植した。移植した細胞の精子形成能力が確認出来るのは精巣移植後3か月は必要である。そのためCtcfl過剰発現だけではdGS細胞の精子形成能力がCtcfl過剰発現だけでは回復しなかった場合にそなえ、Ctcfl過剰発現により発現上昇が確認できなかった遺伝子についてもdGS細胞およびCtcfl過剰発現dGS細胞で過剰発現を行う。
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