本研究は、外来及び一般病棟看護師がアルコール関連問題患者の何をアセスメントし、背景にあるアルコール問題を把握した場合どのように介入しているか、その実態を把握することが目的である。 平成27年度、質問紙を送付したが予定数に満たなかった。そのため平成28年度はネットワークサンプリングに切り替え、追加で質問紙を送付した。全1033件送付し、計378名からの回答を得た。外来及び一般病棟看護師のうち「アルコール関連問題に対する知識」があると回答した者は22%であった。看護師は食事や睡眠、飲酒の頻度など一連の情報収集を行っていたが、アルコール依存症に特化する項目について聞く者は少なかった。また、対象者に介入を行っていた看護師は約2~3割であった。病棟内に活用できる介入プログラムがあると回答した者は数名、介入時に心強い人等がいるとの回答は約1割であった。一方、アルコール依存症の知識、アディクションについての知識がある者は、アルコールに特化したアセスメントや介入を行っている傾向にあった。 また、全国の看護師30名からインタビューを行った。精神看護専門看護師、慢性疾患看護専門看護師の資格を保有する者、精神病棟やアディクション専門施設の勤務経験がある者は患者の身体疾患だけでなく、「その人そのもの」を把握しようと関わりを行っていた。 以上より、アルコール関連問題に看護師が積極的に介入するためには、さらなる看護師のアディクションに関する知識の獲得、資源や環境の整備が必要であるとの示唆を得た。 なお、専門学会において、一部の量的データの結果を発表した。
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