研究課題
抑制性DREADD(hM4Di)を組み込んだウイルスベクターを準備し、マカクサル2頭の両側吻内側尾状核(rmCD)へ手術的に導入した。1.5ヶ月後、 [11C] Clozapine PETによってDREADDの標的部位における発現を確認した。また、hM4Diの選択的リガンドであるClozapine-N-Oxide(CNO)の全身投与により、報酬量課題における価値にもとづいたエラー率の変化が障害されることを確認した。エラー率の変化の障害は、特に小さな報酬価値の違いの区別において顕著であった。続いて、これら2頭のサルの尾状核(CD)および腹側淡蒼球(VP)から単一電極を用いて神経活動記録実験を行った。結果として、CDニューロン76個、VPニューロン94個が記録された。これらのニューロン群のうち、報酬量を示す手がかり刺激に対する発火頻度が報酬価値を反映したもの(ANOVA、P<0.05)は、CDで31個(41%)、VPで57個(61%)となっていた。このことから、解剖学的な結合をもつCDとVPは、ともに強い報酬価値表現を示すことが確認された。さらに、CDとVPにおける神経表現の差異を調べるため、上記ニューロン群において効果量が有意となる潜時を調べたところ、価値表現はVPで先行して生じていたことが確認された。これらの結果から、CD→VP経路は報酬価値情報の表現そのものではなく、情報の維持および補強に寄与していることが示唆された。以上の結果より、尾状核と腹側淡蒼球の報酬価値情報の処理における役割が明らかになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
巻: 7(13605) ページ: 13605-1,13605-8
10.1038/ncomms13605