研究課題
クローン化したモデルHIV(moHIV)感染細胞を用いてアンチセンス鎖RNA(AS RNA)の潜伏化維持における役割及びそのメカニズムについて追究した。アンチセンス鎖を発現する潜伏化細胞(AS+)、アンチセンス鎖を発現しない潜伏化細胞 (DN)でmoHIVの全長遺伝子を持つクローンを各3クローンずつ得た。AS+およびDNクローン間のセンス鎖発現細胞の出現頻度に差は認められなかった。得られたクローンをPMA・Ionomycinで処理し、再活性化に対するmoHIV発現の挙動を観察した。この結果、AS+クローンのセンス鎖の発現応答レベルがDNクローンに比べ有意に低いことが示された。一方、AS RNAの発現指標であるVenusの発現に関して、全てのAS+クローンで発現レベル(MFI)の上昇が見られた。しかしながらDNクローンでは再活性化状態でもAS RNAを発現する細胞はほとんど出現しなかった。概して、再活性化処置によりDNクローンではセンス鎖の発現が亢進する一方、AS+クローンではアンチセンス鎖の発現亢進が起こり、センス鎖の再活性化レベルは著しく低いことが示された。潜伏化維持のメカニズムとして5’LTR領域のヒストン修飾レベルを調べた。その結果、ヒストンH3の27番目のリシンのトリメチル化レベルがAS+クローンで高いことが示唆された。前年度樹立した抗Anti-Sense Protein(ASP)抗体のクローンの選択と免疫染色法の確立を行なった。過去の報告にならい、オートファジー阻害薬である3-Methyladenin(3-MA)で細胞を処置するとASPの発現効率が上昇し、ASP陽性細胞が観察しやすくなることが明らかとなった。実際に野生型HIV感染細胞ASP発現を観察する際にも3-MA処置が有効であることが考えられた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Microbiology
巻: 7 ページ: 1944
10.3389/fmicb.2016.01944