研究課題
新規がん免疫療法の急速な開発が進む中、がん患者の生体内免疫応答を解明することが重要となっている。本研究では消化管がん患者、とりわけ胃がん患者の末梢血および腫瘍組織に存在する免疫細胞の解析を実施してきた。昨年度では、胃がん患者末梢血中に比べ、腫瘍組織中のCD4陽性FOXP3強陽性CD45RA陰性で表されるエフェクター型制御性T細胞の割合が高く、これら腫瘍組織中の制御性T細胞では免疫チェックポイント分子であるCTLA-4および共刺激分子であるICOSの発現が高いことを示した。本年度ではこの制御性T細胞の解析を進め、胃がん患者の腫瘍組織中のエフェクター型制御性T細胞においてICOS強陽性と弱陽性の2パターンが存在することを見出した。これらの2パターンについて、それぞれの腫瘍組織RNAを用いリアルタイムPCRによる免疫関連遺伝子の発現を解析した。その結果、ICOS強陽性を示す患者腫瘍組織においてIl-22やIL-8といったサイトカイン遺伝子の発現が上昇していた。これらの結果から、ICOS強発現のエフェクター型制御性T細胞の腫瘍組織浸潤にIL-22、IL-8などの免疫関連サイトカインが関与していることが示唆された。一方で、腫瘍組織に浸潤する免疫担当細胞ごとの遺伝子発現解析を実施するため、腫瘍組織浸潤リンパ球からCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞を回収し、RNA抽出をおこなった。抽出したRNAの品質をチェックしたところ、RNAシークエンス解析に耐えうる品質であった。このことから、腫瘍組織浸潤リンパ球を用いたRNAシークエンス解析が実施可能であることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Medicine
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