研究課題
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン遺伝子の変異により、骨格筋膜の裏打ちタンパク質であるジストロフィンが欠損して生じる、難治性の遺伝性疾患(X 連鎖病)である。現在、これまで治療法がほとんど無かった DMD を対象に、アンチセンス核酸を用いた“エクソン・スキップ治療”の開発が有望視されている。国立精神・神経医療研究センターでは、DMDを対象に、モルフォリノ・アンチセンス核酸(モルフォリノ核酸)を用いたエクソン 53 スキップ治療の第 1/2 相臨床試験を実施中である。本治療は、安全性は高いが、薬物送達システムがなく治療効果が不十分なことが課題である。申請者らは、細胞膜透過性を有する次世代型ペプチド付加モルフォリノ核酸は「核酸ナノ粒子ラッピングモデル」により筋管細胞に取り込まれることを提唱しているが(Aoki et al. Nano Letters, 2015.)、モルフォリノ核酸の細胞内取り込み機序は不明であった。今年度申請者らは、電気的中性のモルフォリノ核酸は、陽性電荷を有するペプチド付加モルフォリノ核酸と同様に、スカベンジャー受容体クラス A1 (SR-A1)を介して筋管細胞に取り込まれること、モルフォリノ核酸の細胞内取り込みは細胞膜流動性低下と関連する可能性を見出した。加えて、計画通りSR-A1/ジストロフィン・ダブル欠損(DKO)マウスを作出した。DKOマウスは胎生サブリーサルである可能性が示唆されたため、本研究終了までに詳細な筋病理、各種分子生物学解析などを実施し、現在も解析を継続している。本研究は、SR-A1がDMD病態に果たす役割の解明につながるばかりか、筋指向性を有するモルフォリノ核酸の送達法開発およびエクソン・スキップ治療効果の向上につながると考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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