本年度は大きく分けて二つの研究に取り組んだ。一つ目は認知的尺度に基づく動画検索である。動画に投稿された時刻同期コメントを利用することで、みんなが「かわいい」や「高音綺麗」、「イントロ超かっこいい」などと言っている動画を探すことを実現した。昨年度は簡単なプロトタイプの作成にとどまっていたが、本年度は、誰もが利用できるように、その機能をWebサービス「Songriumコメント分析」(http://comment.songrium.jp/)として公開した。本サービスでは、検索に使用するコメントの推薦、直接コメントを入力することによる動画検索、動画の見どころの可視化などを実現した。また、本研究の成果を国際会議IEEE ICDMW 2016で発表した。 二つ目はN次創作活動のモデル化である。オリジナルコンテンツから次々と新しい派生コンテンツが制作されるN次創作活動において、派生コンテンツの制作を引き起こした要因を推定するためのモデルを提案した。提案モデルでは、クリエータが派生コンテンツを制作する際に次の3つの要因が影響すると考えた:(1)オリジナルコンテンツの魅力、(2)オリジナルコンテンツの人気、(3)派生コンテンツの人気。各要因の影響力を確率的に推定することで、各クリエータが各要因を重視する度合いの可視化や、オリジナルコンテンツを起点とする派生樹形図の作成を実現した。そして、推定結果をWebブラウザ上で閲覧できるWebサービス「Songrium派生要因分析」(http://factor.songrium.jp/)を公開した。さらに研究成果を国際会議ACM CIKM 2016で発表した。
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