研究課題/領域番号 |
15H06891
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
鶴田 彰宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 無機機能材料研究部門, 研究員 (40760319)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 導電性酸化物 / 単結晶粒子 / 塗膜 / 強塩基フラックス法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である「導電性酸化物単結晶を用いた粒子整列塗膜の実現」において、平成27年度の研究実施計画に記載した「異方的形状の単結晶粒子育成」の達成に向けた、実験装置の整備および単結晶粒子の合成、評価を実施した。 本研究で導電性酸化物単結晶粒子合成に用いる強塩基フラックス法は、酸化物単結晶粒子を容易かつ比較的短時間で合成することができる長所を有する一方で、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の強塩基物質を400℃以上の高温で溶融させるため、当該物質の揮発や原料酸化物との劇的な反応による融液飛散等の危険が伴う手法である。そこで本研究内では、まず強塩基フラックス法を長年実施されている研究者を訪問し、実験の危険性に関して聴き取り調査を行い、安全に実験可能な設備を整えた。具体的には小型グローブボックス内に電気炉を設置し、合成中はグローブボックス内のガスを置換を行い排気ガスを水でバブリングすることにより揮発した強塩基の回収および飛散による溶融強塩基の人体への付着を防止した。さらに万全を期すため、上記装置を局所排気装置内に組み上げた。 安全な実験遂行が可能であることを確認した上で、強塩基フラックス法にペロブスカイト型導電性酸化物La4BaCu5O13+dの単結晶粒子合成を実施した。当該物質構成金属元素の酸化物原料から短時間でLa4BaCu5O13+d単結晶粒子を合成することに成功し、粒子サイズや異相生成を律速する各種合成パラメータの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に必要な実験設備の整備および強塩基フラックス法を用いた導電性酸化物La4BaCu5O13+dの単結晶粒子合成には成功したが、平成27年度の実施内容である「単結晶粒子形状の異方性制御」は実現できていないため。それに伴い、同様に平成27年度実施内容である「Cuサイト置換単結晶粒子育成」に関しても実施することができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度においても引き続き「単結晶粒子形状の異方性制御」の実現に向けた粒子合成実験を実施し、単結晶粒子成長メカニズムの検討や強塩基フラックス内における新規結晶成長制御手法の開発に取り組む。 また、等方的な形状の単結晶粒子であっても粒子サイズが均一であれば、粒子整列膜の実現により導電性酸化物としての電気物性の向上や新規機能物性に関する検討が可能であると予想されるため、先述の粒子合成に関する検討と並行して、均一な粒子サイズを有する単結晶粒子合成条件の探索および粒子整列膜の実現に向けた膜作製プロセスの検討を行う。
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