研究課題/領域番号 |
15H06892
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
長尾 育弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 化学プロセス研究部門, 研究員 (80760313)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 高温高圧水 / 超臨界水 / 亜臨界水 / フロープロセス / マイクロプロセス / 流通式反応装置 / 縮合反応 |
研究実績の概要 |
【高温高圧水マイクロフロープロセスの構築】 超臨界・亜臨界領域において反応を実施する際に予想される主な問題の一つは、反応途中に水が「暴走」し、所望外の物性値を経由することである。溶媒や反応剤として働くはずの水も、その反応に不相応な極性・粘度・イオン積(pH)等を有すれば、それ自体が副反応の発生や反応の不進行を引き起こす「反応阻害剤」となりうるからである。そこで本研究では、このような問題を抑制するために、独自技術である高温高圧水マイクロフロープロセスを活用して、研究を推進している。なぜなら、マイクロ反応器は、比熱容量が極めて小さいため、反応に高い温度・密度勾配を持たせることができるからである。本年度は、「鈴木-宮浦カップリング」によるスーパーエンプラ基幹原料の合成に向けて、そのためのマイクロフロープロセスの構築を行った。
【モデル反応系によるマイクロフロープロセスの検証】 モデル反応系として、脱水縮合(通常、酸・塩基反応剤の添加が必要とされる反応)を選択し、構築したマイクロフロープロセスの検証を行った。本モデル反応系を選択した理由は、「鈴木-宮浦カップリング」をプロセスの構築段階にて実施すると、マイクロ流路内における触媒金属の閉塞をはじめとした様々な問題が発生するため、より簡素な反応系を用いる方が円滑に研究を推進できると判断したためである。一方、「鈴木-宮浦カップリング」には通常塩基反応剤が必要であり、そのためのモデル反応系として適格だと判断したことも理由の一つとなっている。実際、本縮合反応(ベンズイミアゾール合成)が、構築したマイクロフロープロセスによって、温度約350~450度、圧力約30~45Mpaの亜臨界~超臨界領域の水媒体中にて円滑に進行することを明らかにし、その結果について学会発表及び特許出願を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、「鈴木-宮浦カップリング」を用いて、マイクロフロープロセスの構築を検討したが、マイクロ流路内における閉塞の問題が発生し、順調に計画が進行しなかった。そこで、上述したように、より簡素なモデル反応を選択し、プロセスの構築を再検討したため、計画に若干の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に構築したマイクロフロープロセスを「鈴木-宮浦カップリング」に適用し、スーパエンプラ基幹原料の合成に向けた検討を早急に実施していく予定である。
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