研究課題
セルロース資化性のカビ Trichoderma reesi由来のセルラーゼ(TrCel6A)は触媒ドメインと吸着ドメインがリンカー領域で繋がった構造をしている。そして基質であるセルロース結晶の疎水面から分解を行っていると考えられている。TrCel6Aの一分子観察の結果、セルロースからの脱着に遅い成分と速い成分が有る事が分かった。その割合を基に吸着速度を分割し、それぞれの平衡定数を全長、触媒ドメイン、吸着ドメインとリンカー、吸着ドメインのみで比較した。吸着ドメインは遅い脱着の割合を増加させており、リンカーは吸着速度を上昇させる効果が有るが遅い脱着の割合を減少させていることが分かった。吸着ドメインは疎水性残基が平面を作っており、セルロースの疎水面に特異的に吸着する事が報告されている。またリンカー領域は糖鎖で修飾されており、セルロースの親水面とも相互作用が可能であると考えられる。つまりTrCel6Aは糖鎖修飾されたリンカー領域が最初にセルロースを認識し、吸着ドメインが疎水面への特異性を生み出している事が示唆された。バクテリアcellulomonas fimi由来のセルラーゼCfCel6Bも同様のドメイン構成をしているがリンカー領域は糖鎖修飾されていない。TrCel6Aと同様に全長、触媒ドメイン、吸着ドメインとリンカー、吸着ドメインのみでセルラー巣への吸脱着時定数と平衡定数を解析した。CfCel6Bは吸着ドメインのみで高い吸着速度と疎水面特異性をしめした。これはCfCel6Bの吸着ドメインの疎水性アミノ酸が全てトリプトファンであり、TrCel6Aの吸着ドメインよりも吸着力が強い為と推定された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Biological Chemistry
巻: 291 ページ: 22404-22413
10.1074/jbc.M116.752048