研究課題/領域番号 |
15H06899
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研究機関 | 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部 |
研究代表者 |
菊池 百里子 (阿部百里子) 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, 総合情報発信センター, 研究員 (50445615)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | ベトナム / ゲアン / ハティン / ゲティン / 朱印船 / 角倉 / 考古学 / 中国陶磁器 |
研究実績の概要 |
インドシナ半島内陸部を流れる河川の出口であるベトナム北中部のゲアンにおいて考古学調査を実施した。ゲアンをハブとした内陸部と海域アジアの交易について研究するための資料を得るため、12月に第1次発掘調査を実施した。発掘調査は、ハノイ国家大学およびゲアン省博物館と共同で計画、実施し、日本の朱印船が来航していた可能性の高いフンチャウ村において3箇所のトレンチ調査を行なった。調査の結果、17世紀から19世紀の陶磁器が出土し、朱印船時代の文化層を確認することができた。 また、発掘地点に隣接するフックタイン寺の古文書の調査では、寺が保管する冊封を写真で撮影し資料化を実施するとともに、その記述内容から、この地が日本の朱印船(角倉船)が来航していた「興元」という地名であったことを確認することができた。 あわせて、ハティン省のギースアン地区、ホイトン地区、タインホア省のラックチュン地区の踏査も実施し、多数のベトナムおよび中国陶磁器を表採した。 発掘調査で出土した遺物および表採した資料は、ゲアン省博物館において水洗い、分類、統計などの整理作業を実施し、図面などは日本において整理作業を実施した。 一連の調査により、ゲアンからハティンにかけての海岸線沿い、およびラム河流域には、多数の遺跡および中国陶磁器の分布が確認でき、交易品の生産、流通、消費の流れからインドシナ半島を横断する東西回廊の海への出口としてのゲアンの役割を考察するための資料を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、発掘調査を実施している。発掘調査では、明確な遺構を確認することができなかったため、発掘調査から調査地点の考古学的意義付けをするこことができなかったが、古文書調査や遺跡踏査によって、多くの知見、資料を得ることができた。 今年度の調査成果は、計画通り、平成28年8月に実施される世界考古学会議において発表する予定である(エントリー済)。 また、学術雑誌への研究ノート(査読有り)としての投稿を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の調査成果をうけ、平成28年度も発掘調査を実施することになった。ハティン省のホイトン地区一帯での発掘調査を計画している。 また、これまでの調査の成果は学会および学術雑誌において発表するとともに、考古学調査成果報告書としてまとめるべく、準備をすすめていく。
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