近年、港湾岸壁の急速な老朽化が問題視されている。急速な老朽化の進行による課題として、維持管理費や更新費の急増、重大な事故や致命的な損傷等が発生するリスクが飛躍的に高まることがあげられる。このような被害を未然に防ぐためには、アセットマネジメントが必要不可欠で,が求められているが、港湾施設の外部状況を正確に効率よく安価で客観的に計測する有効な技術は未だない。問題解決のため,簡易な計測システムに、光学カメラと音響機器を搭載し、係留施設水中部の形状計測を行うことで半リアルタイムに係留施設検査を実行するシステムを考えている。本研究では、この構想に向け、音響形状計測と光学画像による劣化度判定を融合した新たな港湾係留施設の点検手法開発の一部を実施した。光学画像取得システムと音響計測データを合成することにより、音響機器で取得した水中3次元座標に色彩情報を付加した3Dモデルを作成した。色彩情報を付加する事により、解釈しにくい音響画像が解釈しやすくなるとともに音響画像では判別しにくい情報が判別しやすくなった。また、変状自動検出検査プログラムの検討を行った。これらの成果は、現存の施設状況を正確に把握する検査手法開発の一助となるとともに港湾水中施工の補助として使用可能である。今後は、これらの技術を統合して、3Dモデルからの劣化判断手法を検討するとともに、実海域でROV等の水中ロボットに搭載し現場実験を実施し、点検手法としての検証を行ないたい。
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