研究課題
近年の蓄電池では液体やガラスのような、いわゆるランダム系材料を電解質として利用する技術が注目され、新しい高出力電池開発へ応用されている。しかし、精密な構造解析手法が確立している結晶電解質と比較すると、このようなランダム系電解質に関する知見は限られ、その乱れた構造と優れた機能発現の相関を議論できる三次元原子配列の観察や決定法は常に求められている。本研究では、放射光施設 SPring-8 の高エネルギーX 線回折技術とラマン分光技術、計算機シミュレーションを組み合わせ、幾何学的秩序のないランダム系電解質の局所構造を分子振動観察・3次元構造の可視化より捉え、ランダム系電解質と機能(高イオン伝導と電極上の電析など)発現との関係を明らかにすることを試みた。今年度は、申請者所属施設のラマン分光装置へWD 30.5mmとWD 25.5mmの長作動対物レンズを取り付けられるように改良し、高エネルギーX線回折(原子配列)とラマン分光(分子振動情報)の同時計測を可能とした。また、1TFlop処理可能なハイパフォーマンスコンピュータを整備し、VASPを用いた第一原理計算環境の構築も進めた。これらの整備より、硫化物ガラス電解質の結晶化過程において、ガラスと結晶をそれぞれ分離することに成功した。成果は英国科学誌Scientific Reports誌へ投稿中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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