研究課題/領域番号 |
15J00016
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
生熊 源一 北海道大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | ロシア現代美術 / 現代美術 / ロシア文化 / コンセプチュアリズム / アクショニズム |
研究実績の概要 |
初年度である本年度は、資料収集ならびに現地調査を行った。初回の現地調査(5月・6月)ではモスクワとサンクト・ペテルブルクに赴き、研究に関連する展示の鑑賞、資料収集、アーティストへの聞き取り調査を行った。モスクワではリアノゾヴォ派の一員でもあった抽象画家ウラジーミル・ネムーヒンの大規模回顧展、ペテルブルクでは抽象絵画の歴史を再考する展示などを鑑賞し、ロシア美術史上十分に光が当たってきたとは言い難い芸術家たちに関する知識を得た。聞き取り調査ではモスクワ・コンセプチュアリズムを代表するグループ「集団行為」のリーダー、アンドレイ・モナストゥイルスキイを訪問し、「集団行為」の活動はもちろんのこと、若手世代との交流など、現在のアート・シーンに関する彼の見解について聞き取りを行った。一方、二回目の現地調査(9月・10月)では、上記の作業に加え、モスクワで行われた第六回モスクワ・ビエンナーレを視察した。資料に関しては、近年刊行されている「モスクワ・コンセプチュアリズム叢書」シリーズを中心として、回顧展のカタログや論文集などを収集した。
以上の調査を下地にして、8月に開催されたICCEES(中欧・東欧研究国際評議会)では90年代に生じた美術界の制度的変化を背景にしたコンセプチュアリズムとアクショニズムの文化的接点について報告し、この論点を発展させた論文が『スラヴィア―ナ』第七号に掲載された。後期には、戦後ロシア美術における人間像という新たなテーマに取り掛かり、このテーマに関して3月にベルギーのゲント大学におけるシンポジウムで報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・ICCEESでの口頭発表をきっかけに、『スラヴィアーナ』にロシア語論文を掲載する事が出来、国内外へ研究を発信する事ができた。
・予定していたロシアにおける調査は問題なく行われたが、研究実施計画に記載したアメリカでの調査は未だ行うことができていないため、次年度以降の課題とする。
・ゲント大学でのシンポジウムに参加することで、ヨーロッパにおけるロシア文化研究者との交流を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
・年度前半に再度モスクワでの資料調査を行い、それを元に査読雑誌に論文を投稿する。
・可能であればアメリカでの資料収集も行う。
・年度後半には日本ロシア文学会において、コンセプチュアリズムなどのロシア現代美術を総括するパネルに参加する。
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