研究課題/領域番号 |
15J00016
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
生熊 源一 北海道大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
キーワード | ロシア現代美術 / モスクワ・コンセプチュアリズム / 「集団行為」 / メディウム / コンセプチュアル・アート |
研究実績の概要 |
本年度に行った研究は、主に以下の3つに大別される。 第一に、モスクワ・コンセプチュアリズムの起源と展開の足跡を辿るため、アート・グループ「集団行為」ならびにグループのリーダーであるアンドレイ・モナストゥイルスキイの初期作品や言説を検討した。この作業の結果を、日本ロシア文学会全国大会における「モスクワ・コンセプチュアリズムのはじまり」パネルにて報告した。コンセプチュアリズムについてまとまったパネルが組まれたことはおそらく日本では初めてであるため、有意義なアウトプットとなったと思われる。 第二に、本年度の新たなテーマとして、研究対象におけるモノ観に関する問題に取り組み始めた。この第二のテーマについては、北海道大学とソウル大学のジョイントシンポジウムにて報告を行い、さらに日本ロシア文学会の学会誌に論文を投稿している。モノに対する態度は潜在的にそれを見つめる視線や記述の問題が関係しており、ここで行った作業はこれからの研究のための下地となることが予想される。 第三に、参加している研究会において、20世紀ロシア美術に関するロシア語の著作を翻訳している。未だ出版には至っていないが、翻訳の過程で大きな枠組みでの研究対象に関する様々な知見が得られた。 また現地調査に関しては、モスクワへ赴き、資料収集ならびに各種展覧会の観覧を行い、研究対象のパフォーマンスに参加した。パフォーマンスの参加後には研究対象のウェブサイトに参加記を寄稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現代ロシア美術史の概観、モスクワ・コンセプチュアリズムの潮流としての生成過程、そして「集団行為」における芸術家と物体の関係性という、3つの異なるレベルでの研究を進め、一定量のアウトプットを行うことが出来た。また、研究対象のパフォーマンスに参加し、彼らの活動を自らの目で観察できたことも成果のひとつである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方向性としては、まずは博士論文に向けた軸を定める必要がある。これに関しては、本年度に行ったコンセプチュアリズムにおけるモノの位置付けについての研究を展開させ、モノだけではなくそれを観察する芸術主体の問題などを盛り込んでいきたい。また、次年度の後半にはモスクワに長期滞在し、資料収集や芸術家との交流を進める予定である。
|