研究課題/領域番号 |
15J00077
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
犬飼 渉 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 道徳哲学 / 政治哲学 / 意思決定 / 構成主義 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「意思決定の可能な非帰結主義理論の構築」であった。以下で示すように、順調に遂行している。 分析研究の射程は、「非帰結主義理論を採用すべきだとする根拠を説明する」ことだった。規範的確実性と実践を基礎とした行為者の行為・性格の正当化論を先に組み立て、それによって価値論において帰結主義/非帰結主義、目的論/義務論、行為者中立性/行為者相対性の二分論が本質的でないことを指摘した。その結果として、非帰結主義的・義務論的・行為者相対的な性質そのものが問題をもつわけではない、ということを間接的に示した。この研究成果を2回の研究発表とアウトリーチ活動でアウトプットした。 規範研究の射程は、「非帰結主義理論を用いる際どのような過程を経て価値判断を下すことができるかを説明する」ことだった。確実性論内、正当性論内、確定性論内においてなすべき意思決定をそれぞれに描くことで、意思決定過程を明示化した。この研究成果を1本の研究論文でアウトプットし、1回の研究発表でアウトプットすることが確定した。 応用研究の射程は、「構築された非帰結主義理論が実際の社会問題にたいしてどのような解答を提示しうるかを説明する」ことだった。理論が、言論の自由の規制の問題、エネルギー政策の問題、環境の問題などに適用可能であり、妥当性だけでなく実用性をも満足することを確かめた。この研究成果を1回の研究発表とアウトリーチ活動でアウトプットした。 また、予定通り、現代政治哲学研究会を発足させインプットした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1本の研究論文と3回の研究発表とアウトリーチ活動によりアウトプットすることができた。ただし、在外研究を一部延期せざるをえなかったのが残念だった。
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今後の研究の推進方策 |
研究を洗練させるために、来年度と再来年度に在外研究を予定している。 平成28年度前期:前年度に発足させた現代政治哲学研究会を継続させる。また、規範研究について、国内学会で1回の研究発表を行う。そこでの意見を反映させて英語論文を1本執筆する。分析研究についての英語論文を1本投稿する。 平成28年度後期:在外研究を予定している。滞在先の大学での研究者・大学院生との議論から得られた着想を反映させつつ、 英文の博士論文草稿(英語論文3本および英語修士論文)の推敲を行う。 平成29年度前期:前年度に引き続き、在外研究を予定している。英文の博士論文草稿(英語論文3本および英語修士論文)を修正する。 平成29年度後期:英文の博士論文を提出する。規範研究・応用研究についての英語論文を2本投稿する。
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