研究課題
ホスホリパーゼA2(PLA2)はリン脂質のsn-2位の脂肪酸を切断する酵素であり、様々な脂質群を基質とすることでアラキドン酸をはじめとする様々な脂肪酸およびリゾリン脂質を遊離する。PLA2の基質特異性は比較的緩やかであり、多様な基質を受容できる結合ポケットを持つことが推測される。一方、PLA2によって産生された脂質群は代謝を受け、その一部はGタンパク質共役型受容体(GPCR)に作用することで作用を発揮する。例えばプロスタグランジン(PG)は計8種類のGPCRと結合することにより効果を発揮するが、EP受容体とDP受容体はケトン基(O)と水酸基(OH)の違いを見分けることが出来るほどその基質特異性は厳密である。PLA2については予想以上に安定性が悪く発現が困難であったことから、本年度は進捗のあったPGE受容体EP3に集中して研究を進めることとした。EP3受容体については、昨年度までに昆虫細胞5 L培養分から約3 mgの精製タンパク質を得ることに成功していた。そこで本年度は、結晶化条件の検討およびコンストラクトの最適化を行うことにより結晶の取得を目指した。GPCRの構造解析では、細胞内第3ループや細胞外N末端領域に融合タンパク質を挿入したり、立体構造認識抗体を結合させることで安定性および結晶性の向上が図られる。そこで、融合タンパク質の種類や挿入位置の最適化検討を行った。また、立体構造認識抗体を複数クローン樹立し、これらを用いた結晶化検討も平行して行った。その結果、最終的に分解能2.7 Aの回折データを得ることに成功した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
J. Phys. Chem. B
巻: 121 ページ: 6341-6350
10.1021/acs.jpcb.7b02997