研究課題
本年度(平成29年度)には,同定した機能未知の原虫由来タンパク質14種について,これをコードする遺伝子欠損変異体の作製を行った.得られた遺伝子欠損変異体7種について,感染赤血球の血管内皮細胞受容体CD36への結合試験を行った.その結果,野生株感染赤血球と比較して,血管内皮細胞結合性が有意に亢進する遺伝子欠損変異体1種類を同定した.この結合親和性亢進の分子メカニズムの解明を目的として,感染赤血球の内部,及び表面構造を,電子顕微鏡を用いて解析した.また,感染赤血球のCD36への結合に必須な原虫由来赤血球表面抗原PfEMP1の局在を,免疫電子顕微鏡解析法を用いて確認した.その結果,当該因子を欠損した原虫では,野生株のそれと比較して,感染赤血球内部(マウレル裂),及び表面構造(ノブ構造)には大きな変化が見られず,PfEMP1の赤血球表面への提示が確認された.これらを総合して,当該因子欠損変異体の感染赤血球の血管内皮細胞受容体への結合親和性の亢進は,代替となるPfEMP1(CD36への結合性が高い)の赤血球表面への輸送によるものだと推察され,当該因子は,PfEMP1のスイッチングに関与していることが示唆された.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Parasitology International
巻: 67(2) ページ: 123-130
10.1016/j.parint.2017.10.008.