本研究では、交付申請書に示した研究実施計画「広域景観の形成に必要な事業者や地域住民の景観への関心について分析を行い(①)、広域景観の視点からこれまで行った研究について体系化を行う(②)」に対して、一定の成果を挙げている。その実施状況及び研究実績について以下に示す。 ①景観法では良好な景観形成に向けて国や地方公共団体の責務を定めるだけでなく、事業者や地域住民に対して、良好な景観形成への協力に関する責務を定めている。そこで、景観法が全国的に活用され始めた2008年から景観法施行10年目に当たる2013年を対象に、新聞記事を用いて社会の景観に対する関心を特定する研究を行った。本研究の成果は国際学会において発表を行ったほか、現在国際誌への投稿を行い審査中の段階である。 ②これまでに「行政境界を越える道路に着目した景観研究」「土地利用区分を越える河川に着目した景観研究」「行政境界及び土地利用区分を越え点在する産業施設に着目した景観研究」を実施してきた。これらの研究を体系化する視点として「広域景観」を用いており、以上の3つの研究は、行政境界を越える景観及び土地利用区分を越える景観それぞれの実態や課題の特定、公共政策の与える影響の考察に必要な役割を担っている。この研究の結論として、行政境界・土地利用区分を越える広域景観それぞれに対して、望ましい景観形成手法を提案した。本研究の成果は、学位論文「広域景観の形成に資する公共政策に関する研究」として取りまとめ、北海道大学に提出し博士(工学)が授与された。
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