研究課題/領域番号 |
15J00211
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森元 瑛樹 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 磁気ギアードモータ / 磁気CVT / 有限要素解析 / 実機検証 / 6相インバータ / 可変磁束 |
研究実績の概要 |
本研究は、広い速度域で高い出力と効率を有する磁気ギアードモータを開発することを目的としている。目的達成の手段として、ギア比を連続的に変化させることができる磁気減速機を内包した磁気変速ギアードモータ(磁気CVTモータ)を提案した。2016年度は、磁気CVTモータの効率が非常に低いという課題を解決するべく、磁気CVTモータの持つ2つのロータの両方に角度センサを設け、変調波磁束の位相を計算することで変調波に対するベクトル制御を行う新たな制御手法を提案し、有限要素解析によって評価を行った。さらに、入力する3相交流と6相交流の電圧が自動的に最適に配分されるよう改良を加えた。結果として、最大効率はこれまで20%程度だったのに対し80%以上にまで上昇した。さらに試作機を製作し、実験評価によって解析結果の妥当性を検証した。公差によるエアギャップの増加や軸方向への磁束漏れなどの影響により、鎖交磁束に若干の低下がみられたが、減速比の可変性や制御性は実験によっても確認され、解析結果の妥当性と提案制御手法の有効性が確認できた。 また、磁気ギアードモータが持つ受動的な可変磁束特性に着目し、その原理についての考察を深めた。さらに、その原理を踏まえた上での磁気ギアードモータの最大トルク制御を考案し、モデルの構築と評価を行って、どの程度の出力範囲拡大が期待できるかを検証した。結果として、本検討においては磁気ギアードモータの磁束は最大で1.6倍程度の可変幅を持つことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、磁気ギアードモータの出力範囲拡大である。この目的に対し、2016年度は主に2つのことに取り組んだ。1つは磁気CVTモータに関してであり、新制御手法の提案による大幅な効率改善と、実機評価を行った。もう1つは、受動的な可変磁束特性を持つ磁気ギアードモータに関してであり、原理の解明、磁束の変化量の評価、より磁束変化量を大きくするための制御手法の提案を行い、どの程度の出力範囲拡大が期待できるかを検証した。 以上のように、複数のアプローチによる磁気ギアードモータの出力範囲拡大の検討を行っており、一部は実験による評価も完了している。したがって、本研究の進捗はおおむね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、受動的な可変磁束特性を持つ磁気ギアードモータについての研究を進める。まず、2016年度中の検討で、磁束の変化量を大きくとるための構造や制御手法の検討は行ったが、磁束が増えるか減るかを決定する要因は特定できていないため、これを特定する。 次に、2016年度で提案した磁束変化量を大きくするための制御手法では、2つのロータ角度の検出が必要であるという課題があるため、これを解決するためにセンサレス制御化を予定している。 最終的には、試作機を製作し、実験評価を行う。また、有限要素解析の結果と比較し、解析結果の妥当性を検証する。
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