本研究の目的は、メタ言語能力と外国語(英語)学習における個人差変数との関連を検討することである。当該年度は出産・育児のため7月から1月まで研究中断しており、5ヶ月のみの研究実施となった。 一昨年度・昨年度に実施したTime1・Time2・Time3・Time4のデータを統合し、分析を進めた。このデータとは、一昨年度4月・5月時(Time1、対象:中学1年生)、10月・11月時(Time2、対象:中学1年生)、昨年度4月・5月時(Time3、対象:中学2年生)、10月・11月時(Time4、対象:中学2年生)に実施した縦断調査で収集したものである。調査項目は、メタ言語能力テスト、および英語学習における学習意欲・動機づけ・学習方略・習熟度であった(Time1では習熟度はなし)。具体的には、各変数(学習方略、動機づけ、習熟度)に対するメタ言語能力(Time1)の影響を相関分析・回帰分析により明らかにするとともに、各変数の発達の相互作用を検討中である。なお、過去年度に実施した認知カウンセリングという手法を用いた質的調査のデータに関しても分析を進めている。インタヴュー・発話思考法と同様の方法で収集した発話データ・自由記述データをコーディング・カテゴリ化し、内容分析を中心に行っている。 さらに、小学生の言語活動に関する著書(今年5月に出版予定)のプロジェクトに著者の一人として参加しており、現在は原稿執筆を終え、校正の段階に入っている。この原稿は、言語学の基礎的理論の教授が中学生の個人差変数に与える影響を明らかにすることを目的とする研究を元にしている。この研究では、通常、理論言語学は大学以上でしか扱われないが、言語学の教授は中学生の言語学習にとっても良い効果が得られるということが明らかになった。
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