研究課題
細胞分裂を制御するHippo-YAP経路を修飾する薬剤を選出する観点から、約20,000種類の未知化合物スクリーニング(上皮細胞を用いて、YAP・TAZ活性化を指標に)を施行し64種類の化合物を選択、さらに、これらの64化合物が初代心筋培養細胞の増殖能に与える影響を検証し、数種類の有望な化合物を選出していた。今年度は、これらの化合物の側鎖改変を推進し、18種類のアナログ化合物を作成し、それらを従来の心筋細胞分裂の指標[phospohistone H3染色:核分裂、aurora B kinase染色:細胞分裂など]とともに、昨年度に確立した心筋細胞特異的に細胞周期を視覚化可能なシステム(Fucci発現アデノベクター)も用いることで、効率的に心筋細胞の分裂能を評価し、より心筋細胞の分裂を促進する候補化合物Xを作成した。上記で合成した候補化合物Xが初代心筋培養細胞へ与える影響を、Hippo経路、さらには、ほかの経路への効果も併せて検討するため、マイクロアレイを行い網羅的に解析した。その結果、細胞周期の進行とサルコメア蛋白分解などの効果の他、抗酸化作用や抗アポトーシス作用も併せ持ち、これらにはWnt経路の活性化やNRF2酸化ストレス応答系の活性化が関与していることを明らかにした。これらの経路における作用機序や標的分子は、蛋白質のリン酸化状態を確認するなどして今後も探索を行う。化合物Xの成体内での役割を検証するために、心筋梗塞モデルマウスに腹腔内投与したところ、線維化軽減と心機能の改善効果も認めた。in vitroで認めた抗酸化作用や抗アポトーシス作用がin vivoでの心機能の改善効果に関与しているのか今後も検証を行う。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Human Genome Variation
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in press
Inflammation and Regeneration
International Heart Journal
巻: 57 ページ: 271-277
10.1536/ihj.16-094.