研究課題
申請者は、有機亜鉛試薬型モノマーと金属触媒を使用し、有機半導体高分子の精密合成法の開発に関して研究を行っている。本年度は、アルキル基のレギュラリティ―の異なる二つのセグメントからなるブロック共重合体の合成および解析を行った。本ブロック共重合体は主鎖骨格がすべて同一のポリ(3-ヘキシルチオフェン)からなっているものの、アルキル基のレギュラリティーが異なるユニークな特性を有している。昨年度は第一モノマーである頭々型ビチオフェンモノマーの精密合成手法の確立およびブロック共重合化を報告した。さらに今年度は第一モノマーおよび第二モノマーの仕込み比を変化させ重合することで、最終的なブロック共重合体の組成比を容易に変化させることに成功した。詳細な構造解析の結果、特に、組成比が1:1に近づくほど明確な相分離構造を形成することが、原子間力顕微鏡や微小角入射小角X線散乱測定により明らかとなった。したがって、有機デバイスへの応用の際、活性層内での自己組織化により理想的な膜構造の誘起が期待される。本研究の成功例は有機亜鉛試薬とかさ高く電子豊富なニッケル触媒を組み合わせた結果であり、当研究課題の大きな成果と言える。今後、電子欠損性骨格に展開していく予定である。研究成果は2017年9月13日付でThe Royal Society of ChemistryのPolymer Chemistry誌に掲載された。また、アメリカ合衆国ボストンにて開催されたMaterials Research Society秋期会議にて英語ポスター発表を行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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