現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、液晶性有機半導体太陽電池応用へ向けた新規配向技術の開発を目的としている。1年目は液晶性有機半導体であるフタロシアニン誘導体の構造および配向方向の解析を行い、薄膜の結晶構造の解析手法を確立することを計画した。その課題を解決するため (a)薄膜中におけるフタロシアニン誘導体の分子パッキング構造の解明、(b)フタロシアニン誘導体の単結晶の作製および薄膜中における分子パッキング構造との比較、(c)フタロシアニン誘導体の結晶多形発生のメカニズム解明の三点に関して検討した。 (a)に関しては、SPring-8内のBL46XUにおいて微小角入射広角X線散乱法によるX線回折測定を行うことにより、薄膜中におけるフタロシアニン誘導体の詳細な分子パッキング構造を明らかにした(M. Ohmori et al., J. Nanosci. Nanotechnol., 16, 3312-3317, (2016))。 (b)および(c)に関しては、フタロシアニン誘導体の単結晶を作製し、単結晶X線構造解析を行った。得られた結果と(a)の結果を比較することにより、薄膜中の分子パッキング構造の詳細な構造を明らかにした(M. Ohmori et al., accepted to J. Cryst. Growth (2016))。また、フタロシアニン誘導体は結晶多形が存在することを明らかにし、その発生メカニズムについても解明した。 以上の(a)~(c)の手法により、薄膜内におけるフタロシアニン誘導体の詳細な分子パッキング構造を明らかにした。2年目以降は1年目で確立した薄膜内の分子パッキング構造の解析手法を用いて、フタロシアニン誘導体の配向制御を行う。
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