研究課題/領域番号 |
15J00454
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石野 正典 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | Internet of Thigns / ネットワークアーキテクチャ / Device-to-Device / セルラーネットワーク |
研究実績の概要 |
膨大な数のセンサーやアクチュエータなどの Internet of Things (IoT) デバイスを必要とする環境モニタリングや交通制御などの社会アプリケーションが提案されている。将来、このような IoT デバイスの台数は、数億~数兆台規模に達すると予想されており、すべてのデバイスの状態を常時管理するアンカーノードを用いた従来の移動管理手法の適用が困難になる。 本研究では、この問題を解決するために、数億~数兆台規模の移動可能な IoT デバイスを取り扱い可能なスケーラブルな経路制御・移動管理機構を含む、IoT 環境向けの次世代ネットワークアーキテクチャの実現を目的としている。 本年度は、多くの社会アプリケーションが利用する、地理的に広範囲に設置された多数の IoT デバイスを、昨今広く普及しているスマートフォンを利用することで、デバイスの移動管理や無線資源の管理に係る制御オーバヘッドを抑えつつセルラーネットワークに収容する方式を設計した。具体的には、Wi-Fi のみを持つ IoT デバイスの利用を想定し、その近傍の Wi-Fi とセルラーネットワーク双方のインタフェースを具備するスマートフォンをモバイルゲートウェイとして利用することで、IoT デバイスのセルラーネットワークへの間接的な収容を実現した。その際、モバイルゲートウェイとなるスマートフォンが移動することから、端末間通信アーキテクチャの 1 つである ProSe を用いて、セル内のスマートフォンを対象に宛先 IoT デバイスと接続しているスマートフォンを動的に探索する機構も併せて設計した。 シミュレーションによる性能評価により、設計したスマートフォンの探索機構が、95%以上の高い IoT デバイスへのパケット配送率と 1 分に 1 回程度の実用的なスマートフォンの平均被探索頻度を同時に達成できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、Bloom Filter を経路表のデータ構造に用いた IoT デバイス台数に対してスケーラブルな経路制御・移動管理方式と端末間通信 ProSe を利用した IoT デバイスのモバイルゲートウェイトなるスマートフォンの探索機構を含む新しいネットワークアーキテクチャ全体の設計と性能評価を行い、その成果を論文誌に投稿することができた。 しかしながら、当初予定していた、フォグコンピューティング技術などの提案アーキテクチャへの応用については、今年度は達成することができなかった。 以上のことから、本研究は「やや遅れている。」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、これまでの性能評価では考慮していなかった、セルラーネットワークのアクセスネットワークにおける無線品質の時間的な変化や隣接セルの存在を考慮した提案ネットワークアーキテクチャの詳細な性能評価を進める。 具体的には、提案アーキテクチャの性能に影響を与えると予想される、無線の信号強度の距離による減衰や隣接セルとの電波の干渉などを考慮したシミュレーションを行う。
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