研究課題/領域番号 |
15J00533
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
及川 哲志 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 有酸素性運動 / マイクロRNA / 糖尿病 / 血管内皮機能 |
研究実績の概要 |
糖尿病における血管内皮機能障害は、動脈硬化症や糖尿病性網膜症、腎症などを引き起こすことから、血管内皮機能の改善は極めて重要な課題である。運動は糖尿病による血管内皮機能障害を改善することが報告されているが、その詳細なメカニズムは明らかでない。そこで我々は、転写後調節機能を持つノンコーディングRNAとして注目されているマイクロRNA(miRNA)に着目した。miRNAはmRNAを分解または翻訳抑制することによりタンパク合成を阻害する約22塩基の小さなRNAである。近年、このmiRNAが血管内皮機能の調節に関与することが報告されているが、運動による血管内皮機能の改善にmiRNAが関与するかは明らかでない。
本年度は、糖尿病モデルラットであるOLETFラットにトレッドミルによる3ヶ月間の有酸素性運動を実施した。今後、先行研究において血管内皮機能を調節することが報告されている3つのmiRNA(miR-92a、miR-217、miR-1)を大動脈組織において解析する予定であり、現在準備を進めている。
また、当初予定していた上記の実験に加え、遺伝子改変マウスを用いた実験も並行して行った。現在は、ほぼ全てのmiRNA合成に必須の酵素であるDicerが血管内皮細胞のみで欠損するコンディショナルノックアウトマウスを作製している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OLETFラットにトレッドミルによる有酸素性運動を3か月間実施したが、運動実験に関する条件設定・実験環境の整備、および実験手技の習得に時間を費やしたため、miRNAの解析は行えておらず、準備を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度行った実験のサンプルを用いて、これまでに血管内皮機能の調節に関与することが報告されているmiRNA(miR-92a、miR-217、miR-1)の解析を行う。さらに並行して、内皮細胞特異的Dicerノックアウトマウスを作製したのち、糖尿病の病態を誘導し、血管内皮機能障害をはじめとする血管機能に関するフェノタイプを観察する予定である。後述した実験で得られる結果次第では、より学術的意義の大きい研究に発展する可能性もあるため、これらのモデルマウスを用いて運動トレーニング実験を行うことも想定している。 また、それぞれの実験において、実験並びにサンプルの解析が終わり次第実験データを整理し、成果を取りまとめ、それぞれ学会および学術論文にて成果を発表する予定である。
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