本研究では、有酸素性運動による血管内皮機能の改善におけるマイクロRNAの役割を明らかにすることを目的として検討を行ってきた。 平成28年度は、平成27年度から引き続き、マイクロRNAの生合成に必須の酵素であるDicerを、Cre-loxPシステムにより血管内皮細胞特異的に欠損させたマウスの作製に取り組んだ。しかしながら、ホモ欠損マウスは胎生致死であったため、ヘテロ欠損マウスにて以後の検討を行った。 これら血管内皮細胞特異的Dicerヘテロ欠損マウスとWTマウスに高脂肪食を16週間摂取させた。腹腔内糖負荷試験を行い糖尿病の病態を確認するとともに、血管機能の表現型として血圧、創傷治癒試験により血管新生能を観察したが、ずれも顕著な差は認めれらなかった。 血管内皮細胞特異的Dicerホモ欠損マウス作製のため、異なる血管内皮細胞特異的Creマウスを用いたところ、ホモ欠損マウスを得ることができた。 今後はこれらのマウスを用いて高脂肪食負荷およびそれに続く有酸素性運動の実験に取り組む予定である。
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