62名の幼児を対象に修正版スマーティ課題と視点取得課題を行った。修正版スマーティ課題では,相手の知識と自分の知識の違い,視点取得課題では,相手の見え方と自分の見え方の違いを理解しているかが重要であるが,本研究では,様々なキャラクターを相手として用意し,それぞれのキャラクターに子ども達がどのように心を推測するかの違いがあるかを検討した。 その結果,相手が,自分のよく知っている友人であれば,子どもにとって相手の心を推測することはより容易であることがわかった。また,年長児は,「この人は知っているかもしれないが,この人なら知らないだろう」というような,相手によって知識が異なる可能性があることを理解していることが示唆された。相手の見え方の理解についても,年中児から相手の見え方の違いを推測することが可能であることがわかった。一方で,見え方については,相手が誰であるかによっての違いを推測することはなく,年中児や年長児であれば,どのような相手にも同じような一般的な見え方であるだろうと推測していることがわかった。 これらの2つの課題で登場したキャラクターはほとんど同じであったため,2つの課題の結果を合わせると,幼児は,見え方は普通だが知識は普通ではないというような考えを持つことができることが示唆された。 また,関連する研究として,成人が他者の心の理解が必要な課題を行う際に,他者が異なることによる成績への影響も検討した。この研究を応用して,今後幼児期の他者の心の理解の発達についてさらなる検討を進める。
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