研究課題
昨年度に引き続き高速AFMによるFtsZフィラメントの観察に注力した。昨年度は基板上でFtsZフィラメントが形成・成長していく様子を捉えることに成功していたが、今年度は前回の測定結果の再現性を確認しつつ、新たな条件での測定も行った。その結果、バッファーやタンパク質濃度、GDP濃度といった条件を検討することにより、FtsZフィラメントが基板上で解離していく様子を観察することに成功した。高速AFMの高いフレームレートにより、従来のAFMでは観察不可能であった時間スケールでのFtsZフィラメントの成長・解離過程を可視化できたことはFtsZのダイナミクスについて理解するための重要な手掛かりとなる。結晶構造から得られる情報と組み合わせながらそのメカニズムについて明らかにしていきたい。現在は共同研究者と連携しながら詳細な画像解析を進めている最中であり、本研究成果は論文として投稿予定である。その他にも、SaFtsZペプチド-SaFtsA複合体のX線結晶構造解析、FtsZ周辺タンパク質のX線結晶構造解析等に取り組んだが良い成果は得られなかった。また、昨年度から執筆中であった2報の論文が学術雑誌に掲載された。1報はSaFtsZの機能に重要な2種類のコンフォメーションの結晶構造を決定し、その構造変化機構をMD計算により提案したものである。もう1報はFtsZおよびその薬剤耐性変異体と阻害剤の複合体の結晶構造を決定し、阻害剤の結合様式と阻害活性、薬剤耐性変異との関連について構造的に考察したものである。特別研究員としての3年間の研究成果を形にし、世の中に発信することができたと考えている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Journal of Structural Biology
巻: 198 ページ: 65~73
10.1016/j.jsb.2017.04.008
ACS Chemical Biology
巻: 12 ページ: 1947~1955
10.1021/acschembio.7b00323