研究課題/領域番号 |
15J00601
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中臺 亮介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 多様性 / 植物‐動物相互作用 / 種分化 / 進化 / 生態的種分化 / ニッチ / カエデ属 / ハマキホソガ属 |
研究実績の概要 |
植食性昆虫の多様性創出機構としての食性の変化を伴う生態的種分化と伴わない非生態的種分化の相対的重要性を明らかにするため、カエデ属植物を利用するハマキホソガ属蛾類を対象として検証を試みた。本年度はまずカエデ属植物を利用するハマキホソガの系統関係を明らかにするため、海外の種および近縁な属を含めた71種の系統樹を作成した。その結果、カエデ属植物を利用するハマキホソガ属蛾類は互いに近縁であり、近年急速に多様を遂げたことが明らかとなった。次に生態的種分化と非生態的種分化の重要性を評価するための手法を新たに開発した。また、日本全国からハマキホソガ属蛾類を採集し、それぞれの分布域を明らかにするとともに野外での食草情報の収集を行った。採集の結果、日本産カエデ属植物20種から未記載種3種を含む14種のハマキホソガ属蛾類計254個体が得られ、これらの情報を用いて新たに開発した手法を用いて検証を行った結果、食性の変化はハマキホソガ属蛾類の系統樹上の根元で生じており、非生態的種分化から予測されるパターンに近い結果を示した。この結果は従来の仮説とは異なり、非常に大きなインパクトを持つ。本成果は現在国際誌に投稿中である。今年度は日本のハマキホソガ属蛾類を対象として検証を行ったが、アメリカでの採集も行い4種のカエデ属植物を利用するハマキホソガ属蛾類の採集ができた。今後は海外の種を含めた解析と食性の変化以外の何が種分化の主要な原因であるかを明らかにすることを試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カエデ属植物を利用するハマキホソガ属蛾類の日本全国での73地点での採集と食草・分布域の調査、食性変化が種分化に与える影響に関する新たな評価手法の開発、ハマキホソガ属蛾類の系統樹作成などを行い、当初の計画通り順調に進んでいる。本成果は4回の学会発表を行うとともに、現在国際誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は海外での採集を積極的に行うとともに、カエデ属植物を利用するハマキホソガ属蛾類の種分化および多様化を促す主要な要因について検証を行っていく。
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