研究課題
骨格筋は人体最大の組織であり、タンパク質(アミノ酸)の形でエネルギー貯蔵を行なっており、異化の条件下において分解される。転写共役因子PGC1αは様々な刺激により骨格筋や肝臓などの多様な組織において応答する。骨格筋においてPGC1αは運動により発現増加し、赤筋やミトコンドリアの機能、脂肪酸酸化そしてBCAA代謝を促進する。一方、肝臓においては絶食時に発現増加して糖新生を促進させることが知られている。絶食時の血糖値維持は、肝臓だけでなく骨格筋も重要な役割を担っている。絶食時骨格筋において、ALTによりアラニンが合成され、このアラニンは肝臓で糖新生の基質として利用されることが知られている。絶食時、骨格筋においてもPGC1αの発現が増加し、同様にアラニン合成酵素であるALTが増加することを観察した。そこで本研究では骨格筋においてもPGC1αが飢餓適応に役割を担っており、PGC1αがアラニン合成酵素であるALTの発現を増加させることによりアラニン合成が促進し、糖新生の基質を供給しているかどうかIn vitroの筋細胞を用いて調べることとした。PGC1α過剰発現C2C12細胞において、ALT2の発現が有意に増加していた。ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて、PGC1α容量依存的にALT2プロモーターの活性が増加することを観察した。一致して、PGC1α過剰発現C2C12細胞においてアラニン量が増加し、さらに培地中のアラニン量も増加していた。これらの結果は骨格筋においてPGC1αにより合成されたアラニンが骨格筋から分泌されて肝臓のような多臓器で利用される可能性を示唆している。絶食時、骨格筋においてPGC1αはアラニンを合成し、肝臓における糖新生の基質を供給するかもしれない。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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