研究課題
まずスリランカWanni岩体のGinikarawa地域より産出するパッチ状チャノッカイトを研究した。この地域に産出するパッチ状チャノッカイトは極めて典型的な産状を見せ、鉱物平衡モデリング法や流体包有物の加熱冷却実験などの種々の分析の結果、形成条件(3.0-3.7 kbar, 740-790℃)が同岩体のピーク条件よりも明らかに低圧であること、低いH2Oの活動度、低密度のCO2およびCO2とH2Oからなる流体包有物の存在などが示された。そして成因は後退変成作用時のCO2に富む流体の浸透と考えられ、この結果は論文として投稿し、受理されている。二つ目はマダガスカルIkalamavony岩体のAmbodin Ifandana地域に産するパッチ状チャノッカイトである。本露頭は黒雲母片麻岩を母岩とし、その中にブロック状や層状の石灰珪質岩および産状が石灰珪質岩と密接に関連しているパッチ状チャノッカイトからなる。研究の結果、840°C/4.5 kbarから 880°C/10.5 kbarという形成条件と低いH2Oの活動度、純粋なCO2からなる二次流体包有物と初生的なH2O-CO2流体包有物の存在などが明らかとなり、成因は石灰珪質岩から放出されたCO2流体によるH2Oの活動度の低下および石灰珪質岩の流体への不透水性に起因する ‘CO2-rich fluid ponds’の形成であることが示された。この石灰珪質岩と直接的に関連したパッチ状チャノッカイトの形成過程の解明は画期的であり、国際的にも評価の高い雑誌へと投稿し受理されている。最後の露頭は南インドTrivandrum岩体西部のもので、主に珪長質岩からなり、特徴的なグラファイトの析出が見られる。この露頭では後退時における多段階の流体の浸透イベントやマダガスカルと同様の石灰珪質岩の流体へのキャップロックとしての作用を確認する結果となった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件)
Journal of the Geological Society of Sri Lanka
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Lithos
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