研究課題/領域番号 |
15J00759
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 輝久 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | データ同化 / 4次元変分法 / パラメータ推定 / ROMS / アンサンブルカルマンフィルタ法 / 季節変動調整法 / 水質モデル |
研究実績の概要 |
研究実施計画【1】の「水環境モデルに対する新たなデータ同化システムの構築と実装」では,対象領域に適した水質(浮遊生態系)モデルを構築し,それに対応する接線形および随伴モデルについても実装しました.さらに,水質モデルの係数パラメータを対象とするための拡張コードも導入し,4次元変分法による水質モデル変数およびパラメータの同化システムを構築しました.さらに,構築した同化システムを用いて,大阪湾内で連続観測された水温・塩分・クロロフィルa・溶存酸素濃度のデータを3次元流動水質モデルROMSに同化し,その精度検証を実施致しました.また,5月から約3ヶ月半の間,カナダ・ダルハウジー大学を訪問し,在外研究を行いました.当大学の協力を得て,4次元変分法とは別の統計的データ同化手法(アンサンブルカルマンフィルタ法)による同化システムを導入し,対象領域への適用を行いました.これによって水質モデルへのデータ同化における,同化手法の違いや対象とする現象についての比較検討が可能となり,今後詳細な検討を行う予定です. 研究実施計画【2】の「現地観測データの収集と特性の把握」にあたり,実海域における水質の時空間的変動特性を把握するため,大阪湾で観測された月に一回の広域定点水質データを収集し,季節変動調整法による時系列解析を行いました. 研究成果の発表は,査読付きの学会誌論文1編,国際会議ポスター発表2編(アメリカ,カナダ),加えて,査読付きの学会誌論文1編を投稿中です.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1年度の研究実施計画は,おおむね順調に進展しています. 研究実施計画【1】では,予定していた4次元変分法による水質モデル変数の同化システムを構築し,その精度検証を実施することができました.検証結果にはまだ安定性についての課題があるため,今後さらなる修正が必要と考えています.約3ヶ月半の在外研究では,訪問先大学にて自身の研究についての意見交換,および最新の海外での研究動向を収集することができました. 研究実施計画【2】では,対象領域の水質の時空間的変動特性を把握するため,季節変動調整法を導入し,統計的データ同化に必要な事前情報の設定に役立てることができました.
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今後の研究の推進方策 |
実海域における水質変動の把握,および同化用データの取得を目的に,大阪湾内観測塔(神戸港波浪観測塔,淀川河口観測塔,大阪港波浪観測塔のいずれか)に水中設置型分光光度計を設置し,栄養塩(硝酸・亜硝酸態窒素,アンモニア態窒素,リン酸態リン)の連続計測を行います. 上記のデータ,あるいは既存の定点連続観測データを,構築した同化システムを用いて水質モデルのパラメータおよび誤差の推定を行い,沿岸域における窒素・リン・酸素の循環機構の解析を行います.また,導入した2つの手法において水質モデルに対する適用性の比較・評価を行います.得られた研究成果をもとに,第2年度9月までに,査読付き国内学会誌論文1編,国際会議発表1編についての成果発表を予定しています.
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