研究課題
CANDLES実験ではCaF2シンチレーターを用い、48Caの二重ベータ崩壊探索を行っている。検出器のさらなる高感度化のために、高いエネルギー分解能を実現できる熱量蛍光検出器を将来的に導入予定であり、現在はその原理検証を行っている。48Caの熱量蛍光検出器はCaF2結晶とその熱信号を検出するための熱量検出器、蛍光信号を検出するための光検出器、結晶を極低温に冷却するための希釈冷凍機、さらに微小な信号を増幅するためのアンプおよび測定されたデータを記録保存するシステムから構成される。既存の希釈冷凍機の問題のため、当初の予定から変更し、100Moの二重ベータ崩壊探索実験であるAMoREグループのメンバーとの協力研究を開始し、使用実績のある希釈冷凍機を借用した。そしてAMoREグループのメンバーと協力し、熱量蛍光検出器の製作を行った。その後、約1カ月間データ取得を行った。データ取得はCaF2結晶内部の放射線のエネルギー測定に加え、希釈冷凍機外部から137Cs(662keV)のガンマ線を照射した。そしてオンライン解析で熱量と蛍光信号の同時検出を確認した。さらにオフライン解析でCaF2結晶内部の放射線を用い、48CaのQ値付近でのエネルギー分解能を評価した。またα/βの粒子弁別を行い。α線のBGを解析的に除去できることを実証した。以上から、研究期間内に目標としていた、CaF2(pure)結晶を用いた熱量蛍光検出器の熱量と蛍光量の同時検出に世界で初めて成功した。エネルギー分解能とα/β分離能に関してはさらなる改善の必要があるが、CaF2結晶内で発生したphotonの一部が熱量検出器に吸収されることが、それらの能力を制限していることが既に分かっており、解析的に熱量の取得信号波形からphotonによる影響を差し引くことで、より良いエネルギー分解能とα/β分離能を得られる見込みである。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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AIP Conf.Proc.
巻: 1921 ページ: 1-6
10.1063/1.5018999
10.1063/1.5018991
http://wwwkm.phys.sci.osaka-u.ac.jp/index-j.html