研究課題
本研究では、膜分離活性汚泥法(MBR, membrane bioreactor)を用いる排水処理装置に対してバイオオーグメンテーションを適用することの実現可能性を検証する。バイオオーグメンテーションとは、汚濁物質を除去するために外部から有用な微生物を導入する手法であり、難分解性物質を含む排水処理のための活性汚泥法においても効果が期待できる。従来の標準活性汚泥法においては、導入菌が処理水と共に流亡してしまうといった問題点が挙げられていたのに対し、MBRでは分離膜によってすべての活性汚泥微生物を処理槽内に留めることができ、より効果的なバイオオーグメンテーションが実現可能だと考えられる。昨年度までの研究では、難分解性物質4-tert-ブチルフェノール(4-t-BP)が流入する二台のラボスケールMBRのうち、一方に4-t-BPを資化可能なSphingobium fuliginis OMI(OMI株)を導入するバイオオーグメンテーション試験を行い、導入したOMI株が一カ月程度残存し4-t-BPの分解能力も保持されることを明らかにした。本年度は、その成果を国際学会において発表するとともに、査読論文として投稿を行った。一方で、導入したOMI株が一カ月程度で外部に流出し効果を発揮しなくなった原因として、ろ過膜表面にバイオフィルムが形成される「バイオファウリング」という現象が示唆されたことから、本年度には実規模MBRを対象として「バイオファウリング」発生のメカニズムを解明するための微生物群集解析も実施した。その成果は、査読論文として投稿を行い、出版も決定している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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