研究課題/領域番号 |
15J00981
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
杉本 真也 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | オルガノイド / 腸管上皮幹細胞 / 炎症性腸疾患 / 粘膜再生治療 / 間質細胞 |
研究実績の概要 |
Wnt,Notch,EGFシグナルの活性化とBMPシグナル阻害という幹細胞ニッチシグナルを利用により,腸管上皮幹細胞(オルガノイド)の体外培養が可能となり,炎症性腸疾患モデルマウスの上皮欠損部位へのオルガノイドの生着成功によって,粘膜再生治療への臨床応用が期待されている.上皮細胞および間質細胞はそれぞれ相互依存的な増殖・分化維持機構を有しており,間質細胞が腸管上皮オルガノイドの生着に重要な役割を担うものと考えられる.本研究は,腸管上皮-間質相互作用の細胞生物学的な制御機構とその分子基盤の理解し,このような相互作用をin vitro系で再現することで,腸管上皮オルガノイドを用いた粘膜再生治療の確立につなげることを目的とする.また,相互依存的な多細胞組織構築システムを体外で再現する自己補完的なオルガノイド培養技術は,その生理的合理性と必要な増殖因子低減から次世代培養技術につながるものである. 今年度は,間質細胞ニッチの検討に基づく培養条件の最適化,マイクロミニピッグおよび免疫不全マウスを用いたin vivo移植実験を独立して行い,その結果を相互にフィードバックした. ヒト腸管粘膜由来の間質細胞およびiPS細胞由来の間質細胞を純化し,選定した生理活性物質の添加および適切な培地により増殖,継代効率が改善することを見出した.オルガノイドとの共培養により,間質からのニッチ供給によって培養因子(Wnt-3a)低減に成功した. また,マイクロミニピッグの腸管上皮オルガノイドおよび間質細胞を樹立し,Piggy BacシステムによるGFP/RFP蛍光標識を行った.EDTA,生検などによる腸管上皮欠損モデル,移植手法の最適化を試み,移植1週間後においても内視鏡下にGFP蛍光を確認した.大動物における内視鏡的なオルガノイド自家移植および免疫不全マウスにおけるヒトオルガノイド異種移植に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,マイクロミニピッグから腸管上皮オルガノイドおよび間質細胞の樹立,蛍光標識に成功し,粘膜剥脱モデルおよび移植手法の検討の結果,内視鏡下自家移植によるオルガノイド生着という最も困難なステップを達成した.また,ヒト腸管上皮オルガノイドを免疫不全マウスに異種移植し生着に成功するというステップも達成し,特にin vivo系での進展をみせている.間質細胞における効率的な培養・継代が可能な生理活性物質,培養液の最適化,共培養によるニッチ因子の低減もおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
大動物における内視鏡的なオルガノイド自家移植および免疫不全マウスにおけるヒトオルガノイド異種移植に成功したが,長期経過後にはGFP蛍光の消失あるいは面積の著明な縮小を認めており,オルガノイドの長期生着および生着効率向上が今後の課題である.上皮欠損モデルの最適化,移植手法の改変,間質細胞との共移植などの検討を加えていく.マウスに比して腸管容積の非常に大きなマイクロミニピッグへの移植に際しては大量の細胞が必要となることから,効率的な大量細胞培養法の検討を加えていく.また,in vitroにおける腸管上皮-間質相互作用の細胞生物学的な制御機構とその分子基盤の理解に基づき,よりニッチ要求性が低いことによって生着に有利と思われるがんオルガノイドや遺伝子改変オルガノイドをコントロールとして用いて条件検討することで,様々な角度から更なる最適化につながる糸口を模索していく.
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