研究課題/領域番号 |
15J01014
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松林 道雄 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | BIM / 既存建築ストック / 維持更新 / 設計図書電子化 / 系統図 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、建築ストックの新営から現在に至るまでの全工事を考慮した上で設計図書の電子化を扱い、また、既存図面と実物とを比較すること、BIMデータの利用可能性を検討することにより、既存建築ストックの維持更新に向けたBIMによる電子データ化の特徴・位置づけを整理することにある。 今年度は、全工事を通したデータの構築・実物との比較、BIMデータ利用の検討を計画していたが、後者に関する取組みが中心となった。後者において、BIMデータから2D図面への変換について内容を定め取り組んでいる。2D図面の方が使用しやすく、また変換プロセスが確立されていないものとして機械設備における系統図を対象とした。内容の選定をするにあたり、国立大学や建設会社、自治体へのヒアリングにより維持管理活動とその際の図面利用の把握を進め、その参考とした。前者においては、ケーススタディの棟を対象に各種工事の設計図書を収集し、各工事の性格を整理した。また、撮影写真を用いて実物との比較分析を進めている。 対象とした系統図に関して、これを自動的に生成するためのプロセス構築に取り組んだ。まず、BIMソフトウェアのAPIを用いてBIMデータ中要素の属性情報を取り出すためのプログラムを作成した。そして、取り出したデータを用いて、別のソフトウェアにて系統図作成を行った。最初は、画像ファイルとしての作成を行い、後にCADファイルとしての作成を行った。また、生成した系統図について、大学施設担当者へのヒアリングによりその表現や使用に関する評価を実施した。 今年度の作業を通して、維持管理に携わる技術者にとってのBIMデータの利用について、一つのあり方を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画に対して、後半に予定していたBIMデータの利用可能性の検討が作業の中心となった。今年度取り組んだ、BIMデータから2D図面への変換については一定の作業を終えた。一方、全工事を通して図面を整理した上でのデータ構築、既存図面一式と実物との比較分析も進めており、全体としてはおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成28年度では、引き続きBIMデータの利用可能性の検討を中心に行う。検討の内容としては、既存の修繕記録とBIMデータとの連携について取り組む。前年度に実施したヒアリングから、既存建物では使用・修繕履歴の蓄積がある点において、新規建設と状況が異なることに着目した。修繕記録の記載項目にBIMデータの属性情報を併せたデータ集合体の活用方法について追求していきたい。また、全工事を通したデータ構築・実物との比較分析についても継続して研究を進める。
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